第2回ドミニオン大会におけるスイスドローの順位の決め方について

※ 自分で言うのもなんですが、わかりにくい文だと思うので質問があったら気軽にスレやチャットでどうぞ

第2回ドミニオン大会において、順位は下のように決めると書きました。

sakura-trick-is-god.hatenablog.jp

1ゲームごとに、ポイントを下の通り獲得します。

結果 獲得ポイント
相手と対戦して勝った +2ポイント
不戦勝となった +2ポイント
相手がゲーム中に《途中退席》した +2ポイント
相手と対戦して引き分けた +1ポイント
相手と対戦して負けた +0ポイント
自分がゲーム中に《途中退席》した -1ポイント
自分と相手がゲーム中に《途中退席》した 双方に-1ポイント

.

下に示した順に比較していき、最初のほうの値が大きいほうが上位になります。
例えば①を比較して同じだったら②を比較、②も同じだったら③を比較…といった感じになります。

優先順位 比較するもの 略称 備考
自分がそれまで獲得したポイントの合計 合計Pt 勝てば勝つほど高くなります
オポーネント・ウィン・パーセンテージ OW% 強い相手と戦ってきた場合に高くなります
自分が戦ってきたゲームの勝利点差の平均 ASD*1 大差を付けて勝った、もしくは負けたが僅差だった場合に高くなります。ゲーム・ウィン・パーセンテージに似た指標です
(後述) AOASD*2 強い相手と戦ってきた場合に高くなります。オポネント・ゲーム・ウィン・パーセンテージに似た指標です。通常はここまで比較されることはありません
ダイスを振る 通常はここまで比較されることはありません

結構複雑な上に、この決め方で本当に公平なのか?という疑問がありそうなので、私なりにこのようにした考えを述べます。

もし不適切な点が判明したら修正したいので、少し図々しい言い方になるもしれませんが、皆さんの目によるチェックも兼ねて書きたいと思います。

ポイントについて

まずポイントの合計で優劣を決める、ということ自体はみなさん納得できると思いますのでこれに関しては説明しません。

大会のポイントの割り振りについて述べます。

(前提として: スイスドローの獲得ポイントにおいて重要なのはポイントの比です。なので例えば10倍にして勝ち=20ポイント、引き分け=10ポイント、負け0ポイント、途中退席=-10ポイントとしても順位には一切影響ありません)

他のスイスドローでは勝ち3点、引き分け1点、負け0点となっている場合もあります。これは単純に言えば「2引き分け」と「1勝1敗」のどちらを優先するかどうかということです。

チェスや碁などでは勝ち:引き分け:負け = 2:1:0、マジック・ザ・ギャザリングなどのカードゲームでは 勝ち:引き分け:負け = 3:1:0 となっている場合が多いようですが、この違いの理由はよくわかりません。

ドミニオンもカードゲームだから 2:1:0 でなく 3:1:0 に合わせればいいのではという意見がありそうですが、上にも書いたとおり理由がわからない上に、私は「2引き分け」と「1勝1敗」は同じ価値とみなすのが自然かなと思うので 2:1:0 を採用しております。

途中離脱者に-1ポイントのペナルティを付けているのは、大差を付けて勝っているゲームで相手が途中離脱を行ったせいで自分の ASD が低くなり、順位が下がってしまう可能性をできるだけ防ぐ目的があります。ゲーム中での無条件での投了を認めていないのもここにあります。

(なぜペナルティのポイントは -2 や -0.5 などではなく -1 という値を選んだのかというと、ペナルティとして意味があり、なおかつその先の大会のモチベーションをあまり失わないギリギリのラインがここかなと思ったからです。実は特に深い考察はしてません・・・)

ただ、将来の大会では今のところ ASD と AOASD の採用をやめる可能性が高いです。理由は後述します。

タイブレーカーについて

説明を進める前に、まずは「タイブレーカー」について説明します。

タイブレイカー/Tie Breaker とは、引き分け(tie)を壊す(break)という名が表すとおり、ポイントが同じ参加者に大して順位付けをする方法です。

なので、同着があっても構わない大会ではタイブレーカーを必ずしも使う必要はありません。ただし、このドミニオン大会では決勝ラウンド進出者を決める必要があるので、他の多くの大会と同じくタイブレーカーを使います。

もしタイブレーカーを使ってもまだ同着がいる場合は、さらに別のタイブレーカーを使うこともできます。こうやって複数のタイブレーカーを使って順位を決めます。

タイブレーカーは多くの種類があります。同着のプレイヤーの順位付けができればなんでもタイブレーカーです。例えばダイスを振って値が大きい人を上位にする、というのも立派なタイブレーカーの一つです。

実際の大会では、当然ですができるだけいい成績を残した参加者が上位になるような"よいタイブレーカー"が求められます。

よいタイブレーカーって?

結論から言ってしまうと、「(合計獲得ポイントが同じなら、)どれだけ強い相手と戦ってきたか」を示す指標がいいと言われています。

強い相手と戦ってきた場合、よりポイントを得ることが難しいはずです。これが根本的な考え方です。

その指標でよく使われるなのが OW% です。OMW% とかソルコフなどとも言ったりします*3

OW%

OW% では平均を用います。似たような指標に、平均ではなく足し合わせる SOS*4 というものもあるようですが、単なる足し合わせなので不戦勝などがあった場合に不利になるのが欠点です。その点、OW% は平均を用いるのでこの欠点はありません。

ポイントでなく勝率という新たな基準を設けた理由としては、自分が勝ち濃厚のゲームでもし相手が途中退席すると相手の獲得ポイントが減るので悪影響が出てしまうからです。

OW% の特徴として、ゲームに勝つと値が伸びる傾向にあるということです。というのも、勝つと次のゲームはより強い相手と当たることになるからです。

これにより、例えば同じ4勝1敗でも●○○○○より○○○○●のほうが強い相手と戦ってきているのでOW%が伸びやすいということが導けます。大会の際は頭の隅においておくといいかもしれません。

今まで私がしてきた説明がわかりにくくて混乱を招いたかもしれませんが、勝利点差はOW%には関わってきません。ご注意ください。

ASD、AOASD

OW% も同じだった場合、ゲーム内容を見てスコアがいいほうを上位にするという考えに基づいて ASD、AOASD というほぼ独自の指標をこのドミニオン大会で導入しています。

勝利点の差が、ゲーム内容が大差だったか僅差だったかどうかを示すという考えです。

ただ、下のとおり欠点も多いので将来の大会では変更or廃止するかもしれません。

理由は以下の3点です: 投了できるようにしてほしいという要望がある。ASD 以下が順位決定に大きな影響を及ぼした場面も今まで見たことがない。そもそも ASD と AOASD 事態が信頼性の高いデータとは言えない。

最後の3つめですが、重いデッキだと勝利点差が10点未満になることもあれば、植民地を買い漁るゲームだと勝利点差が50点以上になることもあります。これを単に平均でとってしまうとゲームごとに比重が大きく異なってしまいます。「平均でなく例えば比にすればいいのでは」という意見もありそうですが、ドミニオンでは最終勝利点がマイナスになることもあるので難しいです。

Q&A

不戦勝だと OW% が高くなるらしいor高くなるって言ってたけど不公平じゃないの?

最近考えてみたのですが、OW% が(ある程度)高くなるのはむしろ自然じゃないかと思います。

というのも、まずなぜ余った一人が引き分けでも負けでもなく勝ち扱いになるのかを考えてみましょう。ちなみにこの大会にかぎらず、スイスドローではほぼ全ての場合で余った一人は不戦勝になります。ここからは私の考えを述べます。

まず、一人余ってしまうというのはランダム性であり、ゲームの実力等によってどうすることもできません。もしその一人に選ばれてしまったのが原因で敗退してしまったら、その方にとっては理不尽です。なので、勝ち扱いにすることで、"不利を被る可能性をなくす"意図があるのだと思います。

この"不利を被る可能性をなくす"のがミソで、例えばポイントは勝ち扱いで+2ポイントしたとしても OW% に悪影響が出たらそれもやはり"不利を被る"ことになってしまいます。

なので、OW% が高くなるということ自体は自然なことなのではないか思います。

(ASD、AOASDは不戦勝によって別段高くなったりしません。OW%のほうが優先度が高い指標ですし、全ての指標を不戦勝の場合に高くさせるのは非現実的なので仕方ないかと思います)

だからといって、OW% が不必要に高くなってはいけません。果たして不戦勝だと不必要に高くなったりしないのでしょうか?

そこで、とある参加者がいたとして、次の2ゲームの結果が●○、●□、○●だった場合の3パターンを考えてみましょう。なお、□は不戦勝を表します。

ここで、常に参加者の順位とその対戦相手の W% の間に相関関係があるとします。つまり自分の順位が高い時に戦った相手の W% は高いという仮定をおきます。

すると、"最終的な" OW% は(注: W% ではありません)、少なくとも●○より●□と○●の方が高いです。なぜなら不戦勝を得る可能性があるということは順位が低いので、先ほどの仮定により対戦相手の W% も低いからです。

次は●□と○●の OW% の期待値の大小についてですが、これはその後のゲームの結果に依存します。というのも、例えば「●□●●●と○●●●●」ならば後者のほうが OW% が高くなりますが、「●□○○○と○●○○○」ならば前者のほうが OW% が高いことがあります。何故かと言うと、例えば「●□○○○と○●○○○」を例にとると○○○のときの対戦相手の W% が高いので、2戦目が●だったほうのケースのほうが平均計算において足かせになってしまうことがあるからです。ただ、このように最後のほうで勝ち続けるような参加者は実力があると考えられますので、1敗した相手はどちらのゲースでも強い傾向があり、 OW% には悪影響をあまり及ぼさないと思われます。なので、不戦勝によって OW% が過大に大きくなってしまうということはない、というのが私が現在出した結論です(悪文ですみません)。

ならば、わざと不戦勝を狙うと有利になってしまわない?

前回のドミニオン大会まではそのような不具合がありました。なので、今回はスイスドロー終了時以外は合計Ptのみで順位を決め、各対戦相手と不戦勝を決めるという形式に変更しております。

勝てるゲームをわざと負けてまで不戦勝になってもデメリットの方が大きいので、そのあたりは問題ないかと思います。

*1:"Average of Score Diff"の略のつもり

*2:"Average of Opponents' Average of Score Diff"の略のつもり

*3:競技ごとに用語の名前や意味が微妙に違ったりするのでややこしい

*4:Sum of Opponents' Scoresの略。ここでいう Scores はポイントと同じ意味